臼別温泉 


30年以上前、北海道の温泉に関する本は少なく、
川釣り人向けの雑誌に僅
かに記述されている程度だった。
国土地理院の5万分の1の地図に臼別川沿いに印を見つけたとき、
その記号の魅惑的な印に長いあいだ心に引っかかっていた


昭和50年頃、ようやく行くことが出来た。
当時臼別温泉は鉱山会社が所有していたというが、Nさん夫婦が湯を守っていた。
 



臼別温泉 建物正面 臼別温泉看板
(臼別温泉 建物正面)
玄関の真上にある二階の部屋で3泊した。

玄関に「臼別温泉」の看板が
なければ見逃してしまう





 臼別温泉」は
山峡の川沿いに建つ素朴な小さなランプの館。
 周囲の樹々に溶け込んでいて、ひっそりとしたたたずまいの外観に惹きつけられ、
 
しみじみとした建物をしばらく眺め、写真を撮った。
 玄関前で昼寝していた二匹の犬が尾を振って迎えにきた。

 後で分かったが、女将さんは家の中からじぃ~っとこちらの様子を見ていて、
 こんな建物の写真を撮っている人は初めてだと言われた。
 質素な建物を見て宿泊をキャンセルして帰ってしまう人がいると話してくれた。




臼別温泉全景

臼別温泉建物全景
右端が「臼別温泉」宿主のNさん。
奥の湯殿の天井に湯気抜きが見える
 


臼別温泉 露天風呂
朝日を浴びた「臼別温泉」露天風呂 (右の建物が内風呂)いずれも混浴 




 朝5時ごろ少し寝ぼけたまま露天風呂へ。
 ひんやりした山の空気で
すっきり目覚め、すぐそばで鳴くアオバトの少しとぼけた声が面白かった。
 昼の湯上り後にまたとろとろ昼寝をした。
 起きてまた湯へ、そしてまた昼寝。

 夕方、女将さんと一緒に近くの川に釣りに行った。
 
釣った大きなイワナとヤマメは夕食の刺身に、宿主夫婦と居間のちゃぶ台で他愛のない会話をしながら
 一緒に食べた。






川釣り  岩魚 山女
 竿に釣り針を付けている臼別温泉の女将さんと
二匹の愛犬
釣った岩魚と山女 




臼別温泉 夜の部屋 ランプ 臼別温泉 露天風呂とランプ
「臼別温泉」 宿泊した部屋の 
ランプと薪ストーブ
「臼別温泉」 露天風呂  




 臼別温泉の内風呂はコンクリート造りで、露天風呂と共に混浴。
 開放的な露天風呂が気に入り、こちらばかり入浴していた。

 寝る前のひと浴びにと夜はランプを持参して露天風呂に。
 ヨダカの鳴き声がすぐ近くで聞こえ、星がクッキリと見え、小川の瀬音が心地よかった

 風呂から戻った部屋でランプの芯を少し細くし、天井に映るランプのシルエットを見ているうちに眠たくなった。
 天日干しされた浴衣と敷布は気持ちよい。
 


 早朝の露天風呂で、温泉に入りに来た若い漁師と一緒になった。
 「船酔さえしなければ一緒にどうぞ」と夕方の漁に同行させてもらった。
 小さな漁港には潮風の素朴な香りが漂っている。漁の前に若い漁師の親父さんは船にお神酒をかけた。


上浦漁港 『あさしを丸』  イカ一本釣り
船上でイカ刺し
 大成町 上浦漁港を出港  「あさしを丸」 船上で捕りたてイカを刺身で 




 釣ったイカをその場で刺身にして食べさせてくれた。
 船尾での一本釣りが面白く釣れたが、自動イカ釣り機の水揚げは少なく、
 燃料ももったいないとのことで早めの帰港となった。
 帰りに魚群探知機を見せてくれたり、天井の低い船底の仮眠部屋に入ったり、船の舵もさせてくれた。


 
港についてから親父さんから「釣ったイガ持っていげ」と木箱いっぱいの真イカを持たされた。
 臼別温泉に戻ってから台所にイカを水に浸していたため(鮮度が落ちる)、後で女将さんに散々怒られた。

 飾り気のない素朴な人たちとの会話は楽しく、親類の温泉にでも遊びに来たような時を過ごした。


 その後、イカ釣り船で撮った写真を送る約束を今日まで果たすことができずにいたが、
 今回写真を整理し送ることができた。

 漁師の名前を失念していたが、「あさしを丸」という船名が写真に写っていたので、
 30年前の古い写真をプリントし、せたなの漁協支所にイカ漁師の親子へ写真と手紙を添えて
 渡してくれるようお願いした。
 後日83歳になったという漁師のオヤジさんからの電話で、「あさしを丸」もまだまだ現役で働いていると
 懐かしい瀬棚の浜言葉で近況を知らせてくれた。


臼別温泉~1994年に廃業後、1995年よりせたな町営の日帰り温泉「湯とぴあ臼別」として営業  


臼別温泉 マッチ 
臼別温泉 マッチ


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